弘法大師と呼ばれる空海。

対して。

伝教大師と呼ばれる人物。

最澄。


空海は、私費留学僧。

最澄は、国費留学僧。


ともに遣唐使として中国に渡り帰国。


最澄は、現在の滋賀県、比叡山に延暦寺を建立。

空海は、現在の和歌山県、高野山に金剛峯寺を建立。


様々に対比される二人。


諺になるほど、有名な空海の書。

また同時に空海に、嵯峨天皇、橘逸勢を加えての「三筆」の呼称。


そういった要因のために、最澄の書は少々、影が薄くなってしまっている。

だけれども、最澄も能書家として、優れた人物なのです。


比叡山 延暦寺 入り口
 ▲ 比叡山 延暦寺 入り口(坂本ケーブル駅側)


空海の高野山金剛峯寺に行ったので

最澄の比叡山延暦寺にも、行くっきゃないでしょう!

ということで、来ちゃった。


3月の下旬の時期だったにも関わらず、やはり山の上。

寒いです。


時々、チラホラと小雪が舞う。

良かった。

一応、防寒対策、してきましたから。


比叡山延暦寺 根本中堂
 ▲ 根本中堂と回廊


靴を脱いで中に入ってみる。

回廊には、多くの書が掲げられている。


「全国学生比叡山競書大会」の作品群。


おおっ。なるほどっ。

そんな競書大会があったとは。


自分が知らなかっただけで、最澄の書も一般的に有名だったのか。

と思いながら、鑑賞させて頂きました。


比叡山延暦寺 根本中堂 上から
 ▲ 根本中堂(前方の階段から)


むかし、中國の梁時代のころに、書の品第をなすにあたって、天然と工夫、すなわち精神のあらわれと、技巧のたくみさの二つの面をとりあげて、その優劣を定めているが、これにならって考えて見ると、空海の書は最澄に比べると工夫においてすぐれているし、最澄の書は空海に比べると天然においてすぐれていると思われる。

『書道全集11 日本2 平安1』 「久隔帖」 P 145 

目指すものが異なっていたために、後に疎遠になってしまう二人。


しかしながら、二人の書は、それぞれの優れた部分がある。

同様に、二人の生き方や方法も。


この偉大な二人が同時代に生きていたという奇跡的な事実。


驚嘆と憧憬。

畏怖と感動。


師範を目指して、書に励みたいと思います。